川崎型森を育む健康な家 - みやぎ版住宅・川崎町型








川崎型森を育む健康な家川崎型森を育む健康な家とは




















川崎型森を育む健康な家とは



I. 「川崎型森を育む健康な家」の定義

川崎の森を育む家づくりねっとに参加する職能技術者等がつくり、かつ
より良い自然環境・恵まれた森林資源を次世代に伝えること。家づくりに関係の深い人工林についていえば、優れた建築用材を生み出す樹木を育みつつ、生態的に優れ、水源涵養機能の高い豊かな森林を次世代へ伝えること。
住む人にとって、命あふれる健康な、質の高い、且つ割安な家をつくること。
自然素材を活用する建築技術を伝え、職人を育てること。
というグループの目的にかなう家を「川崎型森を育む健康な家」と称する。

以下の条件を満たすものとする。

(1) 可能な限り川崎町産の木材を使った産直型の家であること。
(目安・・・室内床面積1坪あたり1立米以上の町産材を使用)

(2) 消費者の個別の要望に応えつつも、可能な限り無垢材と自然素材を使った命あふれる健康な家であること。

(3) 可能な限り川崎町の伝統的建設技術者によってつくられる家であること。
(目安・・町内建築業者の元請か、直接工事費の1/2以上を町内業者により下請け)

II. 目的達成のための仕組み

(1) 森を育む健康な家と認められる家づくりに際しては、林業者・製材業者が協力して、請負者に特別協定価格にて木材を供給する。
一方、請負者と施主とが「未来の森づくり基金」と称する育林基金へ寄付金を拠出し、次世代に健全な森を伝えるNPO法人の育林活動を支援する。(これまでの実績・・・請負者と施主とが請負額のおよそ0.5%ずつ、計1%程度を寄付。)

(2) 川崎の森を育む家づくりねっとに参加する各生産業者はそれぞれがコスト削減の努力をし、透明度の高い内訳書を作成し、且つ自然素材を多用した質の高い住宅を提供するよう努力する。

(3) 各職種の後継者は、会の活動を担い、先輩の教えを乞い、各種の研鑚に励み、先輩はこれを助ける。




















これまでに判明した川崎型森を育む健康な家の特徴と効果(6号住宅までのまとめ)



(1) 適材適所に原木を丸ごと利用し、かつ長大材を多用することによって、木工事費全体は市場流通材を使うより格安になる。
また、仕上げ材の町内加工・無塗装仕様などの工夫をすれば、無垢材仕上げのほうが新建材使用より安価に出来る。
町内の未利用針葉樹を活用できる。
<これまでの6棟で、使用した用材量450立米、よって原木量約900立米>

(2) 格安な木材費に加え、環境に良い家づくりの職能ネットワークを結成しているため鋼製建具、設備機器製品などのメーカーの協力も得ており、さらに全ての工種の職人さんたちが生活と技術を継承できる限界のコストで協力しているために川崎型森を育む健康な家は割安な住宅と言える。

(3) 基礎断熱+床下大量木炭敷き+高断熱+無塗装無垢材多用の内部仕上げの室内空間の温熱環境は優れた性能を持ち、特に湿度調整に関しても有効である。広葉樹林の更新に役立つ木炭製造需要を促す。
<2005年度の宮城県の木造住宅着工件数(10000戸)×平均一階床面積20坪×一坪当たり2.5俵の木炭敷き×0.015トン=7500トン。2005年の宮城県の木炭生産量500トン>

(4) シロアリ防除工事を不要とし、有機溶剤などの室内空気汚染度も非常に低い

(5) 新建材多用型に較べて、産直無垢材型は生産時の石化エネルギー消費量が小さい。また、住宅の廃棄時の環境汚染も少なく、リユースできる部材も豊富である。

(6) (1)、(3)は共に山林樹木の萌芽更新を促し、(3)による空調エネルギーの低減や(5)とあいまって、地球温暖化防止に有効である。




















グラフで見る「川崎型森を育む健康な家」の特徴と効果



川崎型森を育む健康な家は2007年10月現在7棟が完成しました。 これまでの経験と分析から「川崎型森を育む健康な家」の幾つかの特徴と効果が判明してきました。


A. 川崎型森を育む健康な家は安い!(業態別請負価格項目別比較)

業態別に各項目毎の価格比較をすると、まず木材費に大きな差があります。そして無垢材を使う建具や家具も低価格で供給できます。また川崎型は職能地域ネットワークを結成して鋼製建具・機械設備機器等の工業製品などについてもメーカーの協力を得ており、基礎工事を除くあらゆる工種において大量取引をしている総合建設業に引けをとらない価格を実現しています。そして全ての工種の職人さんたちは川崎型については生活と技術を持続できる限界のコストで協力しています。これらの総合的な効果で、川崎型は高いコストパーフォーマンスを得ることが可能になりました。無垢の木の家をお望みの方には割安に提供できると思います。


B. 安い木材費の秘密その一!(木材費内訳比率)

木材の価格を用材ごとに見ると、構造材と板材のコストが特に低く抑えられている。これは、運送・流通経費が少ないという産直方式の特徴と、特に長大材を多用し、かつ原木歩留まりの向上を工夫している川崎型の特徴と、仕上げ材も町内で加工して産直方式を取っている効果によります。このような要因で安く供給できる訳です。


C. 安い木材費の秘密その二!(長さ・断面別木材価格)
構造材の価格を長さ・断面ごとに見ると、継ぎ手を減らし、がっちり丈夫な家づくりに欠かせない、長くて大きい材料ほど産直材の利点が大きくなり、価格差が大きくなります。


D. 健康な家川崎型!(室内空気環境検査結果)(厚労省指針値を100とした時の割合)

ふんだんに無塗装の地元無垢材を使い、床下に大量の木炭を敷き、化学薬品によるシロアリ防除工事をせず、極力自然材料を使った川崎型森を育む健康な家は、室内空気環境検査結果からも健康な家であることが判ります。


E. 育林に寄与する川崎型!(人工林の林齢別面積)

7棟で使用された川崎町産の建築用木材はおよそ500立米、原木量でおよそ1,000立米に達しました。
現在の宮城県の人工造林の材令と材積(植え付け面積)を見ると、戦後一斉造林時の杉が殆どだということがわかります。そして、これらが利用されず放置されているといわれています。手入れもしないままに材令を重ねるとその行く末が懸念されます。これを有効に利用して、持続可能な生産林であると共に生態的にも優れた森林にすることに貢献できれば幸いだと考えています。
川崎型では材令40年程度の杉を外壁材や床材などに積極的に使います。
また、床下断熱をおこなって床下に大量の木炭を敷設する川崎型は広葉樹の更新に役立つ木炭製造を促します。県内全ての木造住宅に木炭を敷けば、現在の木炭生産量の15倍の需要を生み出します。




















グラフで見る一号モデル住宅の室内温熱環境




F. 通年室温・外気温経過

一年を通じて安定した室温が保たれています。(エアコンなし)


G. 通年室内・外気湿度経過

室内湿度は一年を通じて、外気湿度より低めに安定して推移して、多湿時期でも床下湿度も外気湿度より低く保たれています。


H. 梅雨時期の湿度比較

梅雨最盛期でも、室内は80%程度を維持しています。床下の湿度も低めに保たれています。窓を開けると室内湿度は上がってしまいます。(除湿器なし)


I. 真夏の温度比較

真夏の33度の外気温時にも室内は28度くらいまでしか上がりません。冬には足元を暖める床下の蓄熱体が夏には冷蓄熱体として働いています。早朝の冷気を溜め込んで閉じられた室内は外気が上がるにつれ、徐々に上がりますが夕方にやっと最高温度になり、その頃は外気温も下がり風も出てくるので窓を開けて涼をとるという生活が出来ます。(クーラーなし)


J. 真冬の温度比較

厳寒期においても、真夜中は暖房をとめても15度以下にはならず、晴れた日の日中は暖房なしで20度を越すくらい暖かくなります。もっとも寒かった2月4日から5日は、暖房なしの明け方も15度までしか下がらず、朝の床暖房で、足元のひえをなくし日中は太陽のおかげで18〜20度くらいまで室温が上がり夕方再び床暖房で足元をあたため、夜の薪ストーブで寝るまで18〜20度くらいに保たれた生活がわかります。このような生活に要する暖房用灯油は一日5L(床面積一平米あたり0.02L)薪は2把程度です。


K.厳寒期の湿度比較

真冬でも外気湿度は50%から90%まで大きく変動しますが、室内・床下とも50%前後で安定しています。