川崎型森を育む健康な家 - みやぎ版住宅・川崎町型








川崎型森を育む健康な家 一号モデル住宅(みやぎ版住宅・川崎型)の特徴木材の値段 その二 国産材はなぜ高い?




















木材の値段 その二 国産材はなぜ高い?



国産材のムクの木の家が良いんですよ、というと殆どの人が「我々には手が出ませんものね」とおっしゃいます。国産材のムクの木の家は高価なものというイメージがありそうです。
日本は急峻な山が多いので国産材は外国産材に比べて切り出しコストがかさむといわれています。流通過程でのコスト削減の努力も業界全体として取り組む必要があると思われます。しかし他にも国産材が割高になる要因があります。
じつは木材はものによって価格が大きく違います。柱一本で数万円するものもありますし、大根一本の値段にもならないと嘆く林業家もいます。雑木林にはいくらでもありそうな曲がった柱が何十万円もしたりします。このような銘木と呼ばれる高級材木は別としても、節のない柱と節のある柱とでは、数倍の値段の差があります。日本には大径木が少なくなっており、無節材となれば大径木の輸入材からとるほうがずっと安くなる傾向があります。
江戸で大火があると木材が暴騰して暴動がおきたといわれるように、木材はもともと投機性の高い商品のひとつでした。秋田杉の四方柾や北山杉の絞り丸太や屋久杉の玉杢天井板などとブランド化して高価なものをもてはやす風潮もあります。最近は輸入ざれた無節材にピカピカの表面加工をした高級木質建材と称するものを使用した高価なムクの家も出回っています。
このような高級材と称するものにとらわれず、身近な山の、節のある材料を、塗装なしで上手に使うことにより、国産のむく材をふんだんに使った家でも建設費を低く抑えることができる可能性があると思います。
また、かつては柱などの構造材を切り取った残りの部分は、造作材などを取ったり、あまり良くない部分も板材にしたりして余すところなく使っていましたが、合板の普及などにより板材は使われなくなり、産業廃棄物になる部分が増えてしまいました。建築用材として使えない枝や葉もかつてはたきつけなどに使われ、お金にはならなくてもその地域での生活の糧としてあますことなく使われていたのです。しかし今はそれらは産業廃棄物として経費をかけて処分する羽目になっています。また育林の過程で生じる間伐材もかつては杭や養殖筏などに使われていましたが今では用途がなく、山に投げ捨てられたままです。
このようなコストを全て建築用材の価格におわせなければいけなくなり、割高にならざるを得ない面もあると思います。建築用材の歩留まり、ひいては森林活用全体の歩留まりを良くしてコストを下げる工夫も必要ではないかと思います。
原田 有造