川崎型森を育む健康な家 - みやぎ版住宅・川崎町型








川崎型森を育む健康な家 一号モデル住宅(みやぎ版住宅・川崎型)の特徴木材の値段その一「外材はなぜ安い」




















木材の値段その一「外材はなぜ安い」



ずっと昔から、外国産の木は使われていましたが、それは床柱などとして珍重されたもので、価格も非常に高価なものでした。
日本が戦後の高度経済成長期に入った頃から、安い輸入材が出回り始めました。それは、戸建て木造住宅が、大工さんばかりでなく、いわゆる住宅産業と呼ばれる企業群によって建設されるようになっていく時期と重なります。産業ですから量産によって、安くて消費者に喜ばれるものを造らなくてはなりません。量産によるコスト減の追及も必要ですが、原材料の木材も安ければ安いほど良いのです。開発途上国といわれている地域では、労働賃金が安いので、安い木材が供給できるといわれますが、材木のように大きくて重量のあるものを運搬するのは大変なエネルギーを要します。何故、それでも国産材より安くなるのでしょう。
貧困や金銭的な欲望の為に、その日の労賃を得るだけの価格で木材を売る国の人たちがいます。それが天然林であれば木を育てる費用はかかっていません。そして、日本の企業は切り出した後に再び植林をする費用もなしで大量に買いまくりました。わたしはかつてカナダで、島ごと原生林を切り出した跡を見たことがあります。勾配の急な島なので切り出した木を谷沿いに一気に海に下ろすことが出来ます。それを船ですくい上げて運搬するのでまことに生産効率は良い。しかし皆伐した後は新たな芽吹きを待たずに土砂が流出してしまい、黄色い島になっていました。
育つまでのコストも、次に育てるためのコストも支払わないから、我々は安い輸入材を手に入れることが出来たという面もあるのです。
日本の木は植林、育林の費用が価格に反映されていたために外材に太刀打ちできなくなりました。勿論、外国産の木でも植林された木も輸入されています。認証林制度の動きもありますが、それは盗伐された木もいまだに出回っている証でもあります。
日本人に向けられたエコノミックアニマルという批判はたんに「獣のように働く日本人」という意味だけでなく、「金のためには自然資源も平気で収奪する獣のようなやつら」という意味があるのだと外国の友人に言われたことがあります。安い外材とその加工品と量産体制を手に入れて、日本では見た目もよく、便利で、バラエティーに富んださまざまな住宅をたくさんの人々が手に入れることができるようになりました。
しかし、一方で世界中に森林破壊をもたらし、足元の森林を荒廃させてきてしまったのだとも思います。
原田 有造